Vol.4 ロールモデル育ってますか?

早いもので2019年も残すところあと数日です。
皆さまにとってどんな一年でしたでしょうか? 先日、日本経済新聞デジタル版に
女性活躍もう打つ手なし? 日本の指数、過去最低に
という記事が載っていました。女性活躍推進の目標は当初、2030(2020年までに女性管理職比率を30%にする)というものでした。もちろん、その数値目標は到底無理なのですが、残念なことに日本の女性活躍推進の指標は過去最低の数字になっているようです。

■ 若手女性リーダーの悩み

 

最近、次世代リーダー研修が増えてきました。対象者は20代後半~40歳までの男女です。次世代リーダーになると、女性のリーダー予備軍は確実に増えています。私が担当するダイバーシティマネジメント研修での女性比率は平均すると3割近く、ベンチャー系の企業では4割近く女性です。管理職層では9割以上が男性という状況と比較すると、女性活躍推進は一見、進んでいるように見えますが、実はその若手リーダーのモチベーションが落ちています。

■若手女性リーダーは悩んでいる
●キャリアの方向性が見えない・・・
●上司のような働き方はできない・・・
●上司から「期待してるよ。君ならもっとできるよ」と言われ、毎日忙しすぎて平日は家に帰ったら寝るだけ。休みの日は疲れて何もする気になれない。連休は3日間ダラダラとゲームして終わっただけ。このまま管理職を目指せと言われても、キャリアが描けない・・・
●「君がロールモデルになれよ」と上司に言われるけど、こんな私がロールモデル?って思ってしまう。このまま仕事だけで一生独身なのかと思うと焦る。上司の期待には応えたいと思うし、仕事もしたいけど・・・結婚したいし子供も産みたい。会社辞めるしかないかなと最近思い始めている・・・

研修中『悩みの共有』の場面では、そんな悩みが本当に多く聞こえてきます。上司の期待に応え、毎日長時間働いている。仕事で体力は消耗し、夕食は毎日コンビニ。女性たちは「プライベートを犠牲にしないと管理職にはなれない」「家庭と育児と管理職の両立ができるとは思えない」と感じています。

また、すでに女性管理職となって頑張っていた女性たちも、プレッシャーで心折れたり、退職したりというケースも少なくありません。このままではいつまでたっても女性管理職比率は増えっこありませんよね。企業においてママで時短で管理職として働き、しっかり評価されている組織はごくわずかです。ダイバーシティ&インクルージョンを成長戦略として経営者が本気で取り組んで企業だけです。本質はまだこんなに進んでいないのかと愕然とします。

しかし実は上司は女性に管理職になってほしい、育てようと応援しているつもりなのです。
ではなぜ若手女性リーダーがこんなに悩んでいるのでしょうか?

男性と女性では動機づけのポイントが違います。上司はご自身の経験上、管理職になることは出世すること「君ならできるもっと高みを目指してがんばれ!」とはっぱをかけて応援することが彼女のモチベーションを上げると思っているのですが、そんな応援をされればされるほど、女性はモチベーションが下がっていきます。
実は上司の「期待してるよ」=「俺みたいな管理職になれよ」という無言のプレッシャーだと感じるそうです。
また、「管理職は辛い、大変だ」と言えばさらにモチベーションは下がります。管理職にはなりたくないと思ってしまいます。でも女性たちは、上司に正直な気持ちを伝えることができません。リーダーに選ばれる女性たちはとても優秀で真面目です。上司の期待に応えようと精いっぱい我慢しています。そんな彼女たちの本音を知ってください。そしてこう伝えてください。
「管理職になることは特別なことではなく、あなたの成長の延長上にあるよ」
「今のままの自分を大事にしながら成長し続けれれば大丈夫」
「管理職は面白くて、とてもやりがいのある仕事だよ」と。

そして何より、上司ご自身がワークライフバランスを大事にしながら、メンバー一人ひとりの成長を応援する『育ボス』となってくださいね。そうすれば若手社員は男女関係なく「上司のような管理職になりたい」と思います。人生も含め部下のキャリアを応援できる上司になっていただきたいなと思います。

私の研修を受講した女性たちのコメントをご紹介いたします。

★この研修に参加するまでは管理職・上長や上席の仕事は身を削って自分の生活や意思を犠牲にして務めないといけないという固定観念から、「仕事のために仕事をしているわけじゃないのに…」「私にはプライベートを充実できないのに、余裕のある心で仕事できない」と考えてました。しかしながら、研修を通してありのままの自分でいい、むしろそれが求められているということがわかって肩の力がスッと抜けて気持ちが軽くなりました。また、グループで様々な意見を共有して、自分の抱えている悩みを言葉にして伝えることや自分の価値観やリーダーシップのタイプなど見て自分を振り返ることによって、自分の中でモヤモヤしている気持ちが整理されました。

★研修を受けるまでは、リーダーとは「強い影響力でチームを統率する人」でなければならない思っていました。そういう強いリーダーは私には務まらないなとも思っていました。でも今回の研修を受けて、それは昭和の古いリーダー像であって、今求められているリーダー像はずいぶん変わっているということに気づきました。確かに身近にキラキラ輝いている女性リーダーがいるのですが、いつもニコニコしてメンバーに頼り・頼られています。なるほど、関係重視型、民主型、コーチ型をベースに強制型、管理型、ペースセッター型などをうまく取り入れているな~と改めて感じました。こんな新しいリーダー像だったら目指したい、一緒に仕事をしているメンバーに対して理想とするリーダー像を意識しながら仕事を進めていきたいと思いました。

★研修参加の機会を頂き誠にありがとうございました。楽しく学べて他部署の方とも交流でき、とても有意義な時間を過ごせました。どの内容も興味深かったのですが特に印象的だったのは、キャリア=「生き方そのもの」です。漠然とこれからのことを考えてきましたが、仕事・プライベートの両方で未来へ繋がる振り返りが必要と感じました。キャリアの描き方も、自分らしく自然体で成長して大丈夫!とのお言葉に気持ちが楽になりました。また皆様との交流で皆同じような気持ちを抱えながらの日々に、私だけではないと勇気をもらえたこと、皆違った心のエンジンを積んでいて、多様性を重視し互いを思いやることの大切さを改めて感じました。そのためにこれからは様々なリーダーシップを使いわけながら、皆が働きがいを感じ「自立」と「共鳴」へ導くための自分自身の更なるスキルアップに努めてまいります。

動機付けによって彼女たちはもっと安心して成長できます。どうか自然体の女性リーダーを育ててください。

それでは皆さま、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

田中慶子